現代の日本では、「長生きはリスクだ」というイメージが強くあることと思います。
もし今を幸せに過ごせているとしても、将来に不安がある状態では心から幸せだとは言えないでしょう。
ワークライフバランスを高めるための第一歩は「自分は長生きをメリットにすることができる」という希望をもつことから始まります。
WHO(世界保健機関)の統計によると、平均寿命がほかのどの国よりも高く、トップに立っています。
また国連の推計によると、2050年までに日本の100歳以上人口は100万人を超え、2007年に日本で生まれた子どもの半分は107年以上生きることが予想されています。
ライフシフトの統計的な分析では『今50歳未満の日本人は、100年ライフを過ごすつもりでいたほうがいい』とのことです。
長寿化のメリットとはなんでしょうか?
それはもちろん、人生の時間が増えることです。
しかし日本では、長寿化のマイナスの側面が話題にされがちです。
少子高齢化や老後2000万円問題など経済への影響や、体の衰えによる介護福祉問題、少ない年金と労働収入で食いつなぐ老後貧困のニュースなどが相次ぎ、日本人の多くは定年後の生活に明るいイメージを持てていないのではないでしょうか?
年金や貯金で旅行に行くなど、定年後の自由を存分に味わえたのは亡くなるまでの期間が5~10年だったためであり、今までのやり方で当時の3倍以上の時間を暮らすのは現実的ではありません。
長生きをリスクと感じるのは、「人生が長くなっても、苦しい時間が長くなるだけだ」と感じているからです。
では反対に、「幸せな時間をより多く過ごす」ためには、どうしたらよいのでしょうか?
ライフシフトでは、以下のようなことが言われています。
1.自分の本音と向き合う
ライフシフトのテーマのひとつは「自分が、自分の人生をどんなものにしたいか」です。
「まわりがそうしているから」で人生を決めるのではなく、自分は、本当はどんな人生にしたいのか?と問いかけて、自分の本音にウソをつかないことがとても大切です。
「やりたいことが見つからない」という方は、◆変身資産とは?の項目から始めるのがおすすめです。
2.マルチステージのキャリアを前提にする
長寿化に伴い、社会の変化を経験する数は増えます(仮に長寿化がなくても、変化の勢いは加速しています)。
それに合わせて、個人の転職やキャリアチェンジも当たり前になっていくことでしょう。
20代30代でもあえて就職せずに人生の選択肢を探したり、70代や80代でも仕事やコミュニティで活躍しているなど、年齢とライフステージが紐つかないほどキャリアは多様になります。
(参考)◆3ステージからマルチステージへ
3.お金のためだけに働かない
お金を無視していいということではありません。
しかし、従来の働き方では、お金を稼ぐことと引きかえに失われているものが多かったということです。
これからは、お金(有形の資産)と反対の「無形資産」にも目を向けて、両者をバランスよく高めていけるような働き方が重要になっていきます。
(参考)◆無形資産の大切さ
4.選択肢を持ち続ける
両親や祖父母から「安定した職業に就いて、身を固めなさい」と教えられた人も多いのではないでしょうか。
それはあくまでも、自分が人生を終えるまでの道筋が立てやすく、考えていた通りに事が運ぶ時代だったからです。
これからの時代は、予測できない社会の変化に柔軟に対応するために、選択肢を持っておくことの価値が増すのです。
長生きする中で、家庭・仕事・余暇などに対する価値観はもちろんのこと、自分自身の価値観までも変わるときがあるでしょう。
そのときに備えて「まずなにから始めたらよいのか?」については、もちろん個人の「知識」と「経験」によると思います。
わたしとしては、もしゼロからスタートするならば全くつながりのない人の話を聞きに行くのが一番良いと思います。
なぜかというと、働き方・生き方・価値観の選択肢を広げるために最も効果的なものが「人脈」です。
本やネットでも情報は取れますが、実際に人と会うこととの決定的な違いは「リアリティ(現実味)」にあります。
“百聞は一見に如かず” の言葉の通り、現実に「100年時代を豊かにするために活動している人」が一定数いることや、またはすでに成し遂げて「長寿を恩恵にできている人」と出会いそのエネルギーを感じると人生の選択肢が大きく広がるというのは、体感しなければわかりません。
人間はひとりでに成長するものではなく、周りの環境から影響を受けます(日本で生まれた赤ちゃんも、生後数か月で海外に飛んだら、日本語は話せないでしょう)。
これは、人生観についても同じことがいえるのです。
もしあなたが長寿を厄災ではなく恩恵にしたいのなら、長寿を恩恵にできている人から影響を受けることが近道になることでしょう。